「雷」の最新科学

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気象
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1ヶ月以上のブログ更新となります。その間たくさんの出来事がありました。
東日本の地震から10年、急な気象変動に、山火事なども発生。
心身ともに大変と存じます。被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
今回のブログは夜勤終わりに遠くの空に稲妻を見たので
”そういえば気象系は久く書いてないな~”と思い書いてみました。
実はこの雷、以外な要素も相まってapplestar的にめっちゃ興味深いものなんです。
雷は大嫌いですが、事象としては興味深々!まだまだ謎の多い雷です。
では雷の世界を少しだけのぞいてみましょう!!

雷ってなに?

おーー、見るだけで怖っ!真っ暗な空を切り裂く電光石火のような雷。
この雷がどういうメカニズムなのか未だに分からない事がいっぱい。
雷と関係の深い「雲」から少しだけ雷の世界をのぞいてみましょう。


・積乱雲典型的な夏の雷といえば、夏の大きな積乱雲が急速に発達する時によくみられますね。
     積乱雲は夏休みの昼頃から真っ白にもくもくと空に見える雲ですが 
     積乱雲には寿命があるんです。発達→成熟→衰退とあります。
     積乱雲は上昇気流により生まれ最も高い所だと15㎞にも達することができるんです。
     そして寿命は長くて約1時間少。何らかのきっかけで上昇した気流は雲となり
     成熟期の積乱雲は高度が上がるとひょうあられ、更には氷晶ひょうしょう
が存在しています。
     その時、上空にある氷晶は小さくプラス電荷を、下層にある雹や霰は大粒で
     マイナス電荷を帯びているといわれてるよ。(注1:気象条件により電荷が変わる事もあります)
       (注2:寒冷前線付近で寒気が暖気の下へ強制的に潜り込む時に強い上昇気流が起きやすい)
       (注3:雷は夏特有のものではなく、気候条件により冬や他の季節にもみられます)


暖かい空気は上へと上昇する性質を持ちます。
夏の炎天下、地面付近で暖められた高温な空気はどんどん上昇していきます。
積乱雲がどんどん発達し上昇を続けるには、暖かく湿った空気があり
大気が不安定であり(上昇する暖かい空気と上空の冷たい空気の差が激しい)、上空に
持ち上げる力があるなど条件が揃うと、雷に好都合な雲が発生しやすくなる。さらに
上昇する力が強いと周りの水蒸気を取り込み飽和水蒸気量を超え
水滴になり、更に上空ではそれが氷の粒となります。(いわゆる夏の典型的な熱雷)


下からの強い上昇気流が雲の中で氷たちを掻き混ぜ、静電気が発生します。
この時、雲の上層部には小さく軽い氷晶のプラスの電荷が集まり、下降や上昇を繰り返し
下層部には大きく重くなった雹や霰のマイナスの電荷が集まりやすくなります。
電荷に偏りが起こり、大気中に静電気がいっぱい溜まると雲の外に逃がそうと放電します。
雷とは大気中でたくさんの正(+)と負(-)の電荷分離が起こって放電する現象です。
ですが本来、空気自体は電流を流さない絶縁体としての役割があるんです。
とても高い電圧をかけられると瞬間的に電流が流れる絶縁破壊が起こります。
(注:冬に起こる雷は電荷の偏りがみられない場合もある。そして夏場のエネルギーの何百倍もの落雷があることもあります。)
(注:「界雷」「渦雷」など大気の流れの違いや気圧差などにより条件が変わると名前も変わります。)

・静電気…静電気は2つの物質が擦れたり、離れる時それぞれの物質の電子が原子間を
     移動することで発生します。
     陽子(+)と電子(-)の数が同じの場合は中和されていますが、他の物質から電子を奪ったり
     他の物質に電子をあげた時、”帯電”状態となりますが、これを静電気といいます。
     絶縁体同士を摩擦することでよく起きる現象です。
 
・絶縁体…ほとんど電気を通さない物質のことです。
     コンセントの中は電気が通っているけど私たちは普段の生活で触れても感電しないのは
     この絶縁体といわれる物質に覆われてるからだよ。ゴムとかビニールテープとかも
     知られてます。しかし、絶縁体は完璧100%通電しない訳ではなく、「絶縁耐力」を
     超えるほどの高い電圧が加わってしまった場合、絶縁体は破壊、電流が流れます。


積乱雲の中で絶縁体の許容を超える静電気が溜まっていくと
耐え切れなくなって激しい光とゴロゴロという音を出しながら放電します。
これが雷の正体。雷は雲と地面の間だけでなく、雲の中でも発生します。
その時発生する音が雷鳴で光が電光。雲と地上の間で発生する放電を落雷(対地放電)といい
雲の中や雲から別の雲の間などで発生する放電を雲放電といいます。

積乱雲の真下の地面では、積乱雲の下層のマイナスの電気が集まっているお陰で
プラスの電荷がどんどん集まってきます。
雲の内部と地面との大きな電位差が生じた時にじわじわと解消するように
空気の中を電流が流れていきます。
この時、電流の通り道はピカピカと光って見えます。

・稲妻…電気を帯びた粒子の流れ。その通り道は光って見えます。
    この時の放電量は最大で約数十万A、電圧は最大で約10億Vにも達する事があり
    その温度は3万℃以上にもなります。これが雲だけで光った場合は雲放電。
    地上に向かって光った場合を対地放電といい、いわゆる落雷と呼ばれるものです。
    地球には空気があります。雷雲の中で凄まじい電流が流れると窒素や酸素分子などに
    電子が衝突します。衝突時、電子からエネルギーをもらって励起れいき状態(高エネルギー状態)に。 
    この励起状態が落ち着いたときにエネルギーを光として放出する為光って見えます。
※励起状態…原子が興奮状態になっています。原子の中の電子がはじき飛ばされますが、最初にいた電子の軌道から外れるけど、その原子の中に場所(軌道)を変えてとどまること。高エネルギー状態です。逆に電子がはじき飛ばされて原子そのものからいなくなる事を電離といい、元いた原子から解放された電子のことを自由電子というよ。
 
・雷鳴…雲の中の空気は、電流が通ると一気に数千℃から数万℃以上の高温になるので
   急激に膨張します。この時の膨張速度は音速を超える速さになります。
   空気中での音速は約340m/sですから、それ以上の速さになります。
    スゴイ速さで膨張すると衝撃波が発生します。水滴や氷晶やあられで満ちた大きな
    積乱雲の中で衝撃波はスムーズに進まず、粒子による反射を繰り返す為、遠くの雷ほど
    ゴロゴロ~と光ってから遅れて聞こえてきますね。

雷から身を守る

恐ろしい放電をする雷がもし、外出中に鳴り始めたら?
特に夏場の積乱雲は発達の勢いが早く短い時間の買い物でも一歩屋外に出たら
ゲリラ豪雨と化している事も多いです。ゴロゴロと聞こえてきた時点で
そう遠くない数十㎞の距離に雷雲があると考えられます。
雷から身を守る策はあるのかしら?ご紹介しましょう。


気象庁HP災害ページから画像引用

近くの木に逃れるのは一番危険です。
開けた競技場や何もない平地にいると
時に人間に落ち「直撃雷」といいます。
木への落雷から近くにいる人へ及ぶ雷を
「側撃雷」という。雷は
突起物にめがけて落ちる
特徴があります。雷が聞こえてきたら木から離れ
すみやかに屋内に避難しましょう。

落雷にも幾つか種類があります。上記に書いた
「直撃雷」と「側撃雷」以外にもあります。


「誘導雷」とある所に落雷があると多量の電流が
流れますが、その付近にも非常に強い電磁界が生じ
電磁誘導現象により、近くにあるものにも
高い電圧が発生する事で、電線や通信線などに
よって機器の破壊を引き起こします。


「逆流雷」建物や大地などへの落雷による
対地電位の上昇によって、アースから逆流
してくる過電圧や過電流のこと。


 

SHODEN HPより画像引用

雷は電気の通しやすさとは無関係に地面からの突出物に目がけて落ちる性質があります。
競技場や河川敷などの何もない広い場所に、傘をさして立っていたとしたら・・・
万が一、いや千が一、いやいや百が一、いやいやもっと高確率で直撃する可能性があります。
自然現象をたかだかapplestarが確率予測することはできませんが、危険予知は大事。
夏場になると屋外でのキャンプや海、川での遊びが増えます。
その際、遠くに雨雲や大きな積乱雲が発生した時には雷だけに注目せず
特に川の急激な増水の可能性もあるので、自然の中では危険予知を
しながら楽しんで頂けると幸いです。電気を通し易い、通しにくいに関わらず
危険に変わりありません。絶縁効果を超える電流が雷なのです。



雷から分かる最新科学

皆さんは「雷雲プロジェクト」という言葉を聞いたことはありますか?
クラウドファンディングで資金援助を数年前に研究チームが募っていました。
applestarも賛同し寄付させて頂きました。それは単にもの凄く興味があったからです。
プロジェクトリーダーである方は実は、中性子星やブラックホール
などから発生すると考えられている高エネルギーである宇宙線を研究されている方。
・・・という事で少しだけご紹介いたします。

Wikipediaより画像引用:NASA/CXC/PSU/G.Pavlov et al. 
Wikipediaより画像引用:NASA/ESA/JHU/R.Sankrit & W.Blair

さて、上の画像2枚は遥か彼方の宇宙にある天体です。
では何故、今回の「雷」ブログでこの話が出てくるのかにゃ?
それは、雷雲は天然の”粒子加速器”ではないか?…ということです。
ズバリ雷と関係があるものとは「宇宙線」です。
宇宙線といえば、宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線のこと。
雷雲での粒子加速の理論を実験で実証する為に行われたのが”雷雲プロジェクト”です。

thundercloud projectプレスリリース

この研究グループは日本海沿岸部で発生する夏の雷より高エネルギーで
特徴的な冬の雷に注目して、放射線や電波帯での雷観測を行って頑張っておられます。
プロジェクトの結果はapplestarのつたない文章力では
伝わらないので貴重な動画がありますのでぜひ、参考までにご覧ください。



私たちにとって身近な自然現象である「雷」は、まだまだ謎の多い現象。
なぜ、地球上でこんなに自然に高エネルギーになるのか?まるで悪魔の化身の様に
幼い頃から思っていました。それが実は宇宙線の影響もあると考えると納得してしまいますね。
どちらにしても、危険であることに変わりはありません。
もし、雷に出くわした時には速やかに鉄筋建物など頑丈な建物に避難してください。
そしてご在宅の時は、コンセントを抜いて家電を守るのも大切です。
今回は難しい雷ブログに挑戦しました。どうやって文章にするか
とても迷いました💧最終的に雷鳴ったら「避難して!」とだけ
理解して頂けたら幸いです。
では、また次のブログでお会いしましょう。applestarでした♪バイバーイ♡



・雷については、まだまだ未解明です。危険なものですが、自然現象をこの世から無くす事はできません。
 しっかりと危険から身を守る様にしましょう。

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